中国

東チベット⑨/チベットの葬式”鳥葬” @理塘

楽しかった徳格の最終日。

旅バディのハルカちゃんと話し合い。
成都に戻って彼女の帰国便までには、後2日ある。
さあ、どうする?

1) 成都に引き返すか
2)新しい街「理塘/リタン」に行くか(さらにまた成都から離れる)

選択肢2は、なかなかの強行軍だった。

私は3日ほど続いた、”1日中バスに乗って移動”という
老体にはちょっと厳しい行程で疲れが溜まっていて
咳やら微熱やらが出ていた。

でも「せっかく東チベットの果てまで来たのなら
やっぱり行っちゃおう!」と 過酷チョイス(2)の理塘/リタンへ。

理塘/リタンは、死んだ後、鳥(ハゲワシ)に食べさせる鳥葬(天葬)がまだ残っている場所。鳥葬は毎日行われているわけではなく
実施曜日が決まっていて、今行けば見れる可能性がある!

そして、またタクシー &乗り合いタクシーを乗り継ぎます。
(徳格-カンゼー 新龍ー理塘)

早朝6時30分に出発して
着いたのは20時過ぎていたと思う(メモをまた紛失w)

滞在先は布達拉大酒店(ポタライン)
ここでは英語がほぼ使えなくて

筆談、ジェスチャーで伝えようとするも なかなか伝わらない。

理塘は標高4000m….(私が高山病を発症する歴代標高は3200m)
街に着いた時点で、頭がふわっとするな・・と思ってたんだけど

案内されたホテルの部屋が4階。それも階段www

し、死ぬ・・・・頭がフラフラするし気分悪い….
明日の早朝の鳥葬のためだ・・・・我慢だ・・・と思って
その日は寝ました

いよいよ チベットの鳥葬

翌朝、鳥葬が行われるはずの曜日だということを確認して
ハルカちゃんとタクシーで天葬台へ向かう。
(朝7時)

が・・・誰もいない。

タクシーを返してしまったが
30分待っても誰もいない。

なおかつ雨が降ってきてしまった……

カフェもなければ民家もない。

広大な丘で どうしていいかわからない日本人2名。

すると彼方に西洋人の青年が2人歩いているじゃないか!
聞いてみよう!と
駆けつけると、彼らも見に来た組。1時間前からいてるが
誰もいないからどうしたものかと思っていたと。

岩場で雨宿りしながら待っていると
そこに中国人ツーリストもやってくる。

「中止になったとか聞いたけど、もうここまで来たから
一緒にこれを吊るそう」とタルチョを提供してくれた。


せっかくここまで来たんだ。何かしたい。
「ほらほら、楽しくやりましょー」とハイテンションな中国人女性に
助けられる。ありがとうね。


このタルチョは、仏法が風に乗って広まることを願って吊るされる
らしく、

今まで、よく雑貨屋さんとかでも見ていたタルチョだけれども
実際に祈りの場を見てからだと心にじわっとくるものがあるなあ。

私もお祈りして見た。ちょっと違うけど。

 

さあ、みんなで記念撮影して、解散しよう!
鳥葬は見れなかったけど、いい思い出になったね!ありがとうね!
と、we chatを交換した途端に

車が現れた…..

それも続々と……….

え。。。。。。予定時間の3時間遅れで、もしや、もしや
鳥葬、やりますのん???

アレヨアレヨという間に村人が続々と
乗り付けて来た。

すると、どうだろう。

びっくりすることに 山には いつのまにか
おびただしい数のハゲワシが集まっていた。


(ちなみに私の携帯で撮影したため、画角が狭いですが、
この5倍はいます)

ウーーーワーーーーーー

人がこの時間に来るって、もう分かってるの????

村人たちがいろんなセッティングを始めると
ハゲワシのポジションも少しづつ、距離を縮めるように
迫っていた。

私たちは丘の下から眺めていたら
地元の人が「見に行っていいよ。でも、その行為だけは
写真には取らないでね」と釘を刺される。

はい、わかりました。お葬式ですもんね。

この日の葬儀は80代のおばあちゃんだそうだ。

この地で80歳ってとても長生きなんじゃないだろうか。
大往生だねえ、と思う。

家族は丘には登ってこないで下の方で見守るだけ。

鳥葬を担当する専門の職人さんと、村人?なのか?
が執り行うようだ。

おばあちゃんがやって来た

意外な形でおばあちゃんがやって来た。

なんと透明の衣装ケースに、入っている。

私の0.2くらいの視力では微妙に間違っているかもしれないけれど
衣装ケースにウエディングドレスのようなフワッフワ
した布に包まれて運ばれて来た。


こんなん…. (絵が悪い…ww)

そして、ずずずず!とおばあちゃんが取り出される。
多分 全裸ぽい。

ああ、やめてあげて。

死んでも、女性だから。
仰向けはやめて— !

と思ったら、ちゃんとうつ伏せにされていた。

よかった。それぞ配慮。

すると、鳥葬職人(なんて呼んでいいのかわからないのでそう呼んでみる)が、斧のようなもので、

バキッ!バキッ!

と魂が抜けたおばあちゃんを切ってくのだ。

うわあああああ!!!(〝ロ゛)アアアアアアアアア!!


バキッ!バキッ!

遠くから見ていても
ああ、足切ったー!ああ、腕ーーー!

とわかる。

職人の周りに、村人。

そしてその周りに、ハゲワシ。

ハゲワシのまだ後ろに、私たち。


血の匂いでよって来たハゲワシから遺体を守るために
村人たちは円陣を組んで「しっ!しっ!
まだだ!もうちょっと待て!」的に追い払っている。

肉を裁断し
職人が合図をし、
村人が一斉にハゲワシバリケードを解除する。

すると

ギャギャギャ!!!!

 

ハルカちゃん撮影

 

ものすごい勢いでおばあちゃんの亡骸に
まっしぐら!

とハゲワシがバラバラの遺体に飛びかかる。
すごい光景だった。

ほんの一瞬だった。

10秒もなかったと思う。

おばあちゃんのパーツは
遠くから見てもわかるほど

肋骨と頭蓋骨など 骨だけになっていた。

人間の体なんて一瞬で無くなるんだな、
と思った。
あれはおばあちゃんではない。
もう肉なのだ。

 

そしてここからだ。

石の上に骨を置いた職人は
さらに骨をバキバキと折っていく。


骨をわる。
が、それだけでは美味しくないので
バターをトッピング。

それも10秒で瞬殺ww

そして、最後。

頭蓋骨

なぜか頭蓋骨が最後だったのだけど
これはやっぱり一番大事な部分だからだろうか。
意味はあるのかな・・・


そう….まさしく….
私がいつもいく近所のボンマルシェスーパーの
レジ袋のような買い物袋を
職人が出して来た。

何だろう・・・・

と思ったら そこからちょっとぬるっとした
「モノ」を出してね。
まさしく粉砕した骨の上に、わちゃっとかけてたね。

そう。それが

脳みそ

チベットのプロ、Tさん曰く
「そこにチベットではお茶とかで飲まれる、ザンパっていう大麦の粉
をかけるねん。そうすることによって脳みその液体部分もちゃんと
食べてもらえるからね」

す、すごいな・・・

粉砕された骨with脳みそトッピングは

さらに10秒もないうちに
召し上がられ、

さっきまでおばあちゃんがいた、その場所は

全く何もない、

緑の大地になってました。

見上げると、青々とした広い空。

緑のカーペットに山々。

風が吹いている。鳥が鳴いている。

ああ、チベット人の死生観が理解できる気がした。

自然と人間は繋がっている。

ずっと命を頂いて来た人間が
死んだ時くらい、他の生物(=ハゲワシ)に役に立つように
という意味合いがあるらしい。できる限りのお返し、なのか。

そして、この地方は寒いので木があまり育たない。
火葬となると沢山の木材が必要になるけど 供給できない。
土葬だと寒冷地のため微生物の分解が活発ではなく
疫病予防の観点から厳しい など
いろんな側面からの意味合いがあるそうですが
(位の高い僧侶は火葬だそうです)

今回の葬儀は
とても晴れやかで

体は死んでも魂は死なない、という輪廻転生が
スゥッと理解できる気がした。

そんな、まさしく「いい旅立ちでした」的な
清々しい気持ちになっている時に、

背後からめっちゃ視線を感じたのです。

くるっと振り返ると…..

え………

私の腰ぐらいまで 軽くある巨大ハゲワシが
後ろで睨んでいる気がする….

なんか、あなた、私を見てますか….?

ちょっと怖いな、と思って移動すると

なぜか私の後をついてくる。

気のせいだろう。こんなにたくさん人がいるのに
私だけを睨んでくることもないだろう。。。と

怖いので西洋人の間に隠れても

確実に狙いを定められているようだ。。。

え? 本気で 狙われてますか?

風邪気味で2日間、シャワー浴びれてないのが
バレましたか?(くさい?)

もしくは咳をしているので
体が弱ってると
思われてます?

何なら….肉付きがいいから・・・????

ハルカちゃんにも

「なんかねねヤンさん,狙われてますねえー笑」と
笑われる始末。

いやいやいや、これ、襲われたらめっちゃ怖いんですけども!

人とハゲワシの大きさの比較。めっちゃ大きいでしょ?

丘を降りると一仕事をした村人たちはティータイム。

村人に「これで手を洗え」と牛乳?ヤク乳?で手を洗わせてもらい
ハーブ(多分セージ)を燃やして その煙で体を清めてくれた。
何だか似通った部分はあるなあ。

それにしても とても貴重な体験をさせていただきました。

ありがとうございます。80歳のおばあちゃん。